利用頻度や購入金額の多い顧客の中でも、企業やブランドに強い愛着を持ってくれている顧客をロイヤルカスタマーと呼びます。
ロイヤルカスタマーは企業にとって重要な顧客で、売り上げの安定や向上・新規顧客の獲得につながります。
なぜなら、売り上げ貢献度が高いだけでなく、商品やサービスを気に入って長期的に利用してくれるからです。
自分の周りやSNSで商品やサービスを発信してくれるので、新規顧客の獲得にも貢献してくれます。
新規顧客の確保が難しくなっている背景から、企業を維持していくためにはロイヤルカスタマーの育成が重要になっています。
ロイヤルカスタマーを増やすための戦略やロイヤルカスタマー戦略の成功事例など、自社での施策を構築する際の参考にして下さい。
ロイヤルカスタマーとは
ロイヤルカスタマーとは、ある企業やブランドに対して強い愛着や信頼(忠誠心)を持ち、長期間にわたって繰り返し購入・利用をする顧客のことです。
強い愛着や信頼(忠誠心)のことをロイヤルティともいい、これを持つ顧客はロイヤル顧客とも呼ばれますがロイヤルカスタマーと定義は同じです。
ロイヤルカスタマーは以下の特徴があります。
特徴 | 内容 |
---|---|
高いリピート率 | 継続的にそのブランドや製品を購入・利用する。 |
積極的な口コミや推奨 | 他の人にもそのブランドやサービスをSNSなどで積極的に発信する。 新規顧客を呼び込むことに貢献する。 |
強い愛着 | 企業やブランドに強い愛着を持っているので、競合に流れにくい。 |
ロイヤルカスタマーとの関係性を深めるために、企業側はポイント還元や割引など顧客満足度を高める施策や特別な待遇を行うことが効果的です。
ロイヤルとは「忠誠心」という意味ですが、信頼・愛着・共感を持つ顧客と考えられます。
|優良顧客との違い
ロイヤルカスタマーと優良顧客は似たような意味でつかわれますが、微妙な違いがあります。
優良顧客は
・金銭的な貢献度が高い
・頻繁に購入する
など、購買額や頻度・収益面で重要な顧客です。
ですが、ロイヤルカスタマーとは違い強い忠誠心があるわけではないので、他のブランドや競合他社の商品やサービスに流れる可能性があります。
優良顧客は長期的な愛着をもって購入しているわけではなく、キャンペーンなどでの一時的な高額購入である場合があります。
ブランドに対する強い愛着のあるロイヤルカスタマーとは違い、経済的な利益を重視していると考えられます。
優良顧客とロイヤルカスタマーを区別し、長期的な忠誠心を育成する戦略が必要になります。
|リピーターとの違い
どちらも繰り返し購入をする顧客を指しますが、商品やブランドに対する愛着(ロイヤルティ)があるかどうかで異なります。
リピーターは必ずしもブランドや企業への愛着によって購入するわけではなく、
・価格が安い
・店舗が近い
といった理由で繰り返し購入をする顧客です。
商品自体の特徴や価格によって購入を決めているので、ブランドに対する愛着は薄い傾向があります。
価格や利便性によっては他の商品やブランドに移る可能性が高いです。
ロイヤルカスタマーを育成すべき理由
ロイヤルカスタマーを育成すべき理由は、以下のことがあげられます。
・新規顧客を獲得する難易度が上がっている
・マーケティングコストの削減
・売り上げの安定・向上
・顧客中心主義が求められている
企業にとって、ロイヤルカスタマーは多くのメリットをもたらしてくれます。
一つずつ詳しく解説していきます。
|新規顧客を獲得する難易度が上がっている
理由の一つは、新規顧客を獲得する難易度が上がっていることです。
少子高齢化や人口の減少が加速し、市場が縮小していることが要因としてあげられます。
加えて物にあふれ、似たような製品が多数販売されている成熟市場においては、他社との差別化が難しくなっています。
独自性をアピールして新規顧客を獲得する、広告やプロモーション活動も頭打ちの状況です。
新規顧客の確保が困難な以上、既存の顧客をロイヤルカスタマーに育成することが売り上げ確保のためには重要になっています。
|マーケティングコストの削減
ロイヤルカスタマーはマーケティングコストの削減の効果も期待できます。
強い愛着を持っているロイヤルカスタマーは、マーケティング活動を行わなくても継続的に購入してくれるでしょう。
自発的に自分の周りの人にブランドを紹介したり、SNSで発信してくれるケースもあり、新規顧客の獲得する効果も期待できるかもしれません。
企業はマーケティングコストを抑えて収益があげられ、新規顧客の獲得もできるメリットがあります。
|売り上げの安定・向上
ロイヤルカスタマーの存在は安定した収益の確保につながります。
なぜなら、ロイヤルカスタマーは継続的に商品やサービスを利用し続けてくれるからです。
売り上げの安定にもつながり、長期的な売り上げの向上も期待できます。
顧客一人当たりの顧客生涯価値(LTV)が高くなり、長期的な収益源となってくれるでしょう。
企業が困難な時期でも競合に流れることなく支えてくれる可能性が高いです。
景気が悪化したり競争が激化した時も、企業の信頼性を維持するために支援してくれるはずです。
|顧客中心主義が求められている
顧客のニーズに応じたサービス改善が可能になることも理由にあげられます。
ロイヤルカスタマーは、企業に対して率直で価値のあるフィードバックを提供することが多いからです。
建設的なフィードバックにより、商品やサービスの改善に役立てることができます。
これによりブランドの信頼性や評判が高まり、競争優位性を維持することができるでしょう。
購入後にSNSなどで発信する、顧客を紹介してくれるなど企業にメリットをもたらしてくれます。
顧客ロイヤルティの分析方法
ロイヤルカスタマーを増やすためには、既存の顧客がどれだけ自社にロイヤルティを抱いているか分析することが重要です。
分析方法としては以下のものがあります。
・RFM分析
・CPM分析
・NPSの活用
分析方法 | やり方 |
---|---|
RFM分析 | Recency (最終購入日)・Frequency(購入頻度)・Monetary(購入金額ボリューム)の3つの指標から顧客をランク付けする 指標をもとに「優良顧客」「見込み客」「離反客」「新規顧客」に分類しそれぞれに応じたアプローチを行う |
CPM分析 | CPMは「Customer Portfolio Management」の略。 RFM分析の3要素に「顧客の在籍期間」も加えて分類を行う。 顧客を10のセグメントに分類しそれぞれに応じたアプローチを行う |
NPSの活用 | NPS(Net Promoter Score)は、顧客が企業にどれくらい愛着や信頼を持っているか判断するための指標。「この製品やサービスを友人や家族に薦めたいか」という質問に0〜10の11段階で回答を依頼。 0~6点:「批判者」、7~8点:中立者」、9~10点:「推奨者」と分類し顧客のロイヤルティを判断する |
ロイヤルカスタマーを増やす施策として、分析結果をもとに顧客を分類し、それぞれに応じたアプローチをすることが有効です。
効率的に顧客をロイヤルカスタマーに育成することが可能になります。
ロイヤルカスタマーを育成する戦略
ロイヤルカスタマーを育成するための戦略をいくつか紹介します。
・ターゲットを明確にする
・顧客との接点を増やす
・顧客体験(CX)を見直す
・定期的な情報発信
顧客の期待を超える体験の提供や顧客との関係性を深めることが重要です。
ロイヤルカスタマーにする取り組みとしては、顧客に優遇されているという特別感を与えることが必要です。
企業やブランドへのロイヤルティが高まり、長期的に関わりを持ちたいと感じてもらえるでしょう。
育成のための戦略に適切なアドバイスを受けることができます。
|ターゲットを明確にする
ロイヤルカスタマーとして育成するターゲットを明確にしましょう。
どういった顧客に対して施策を実施するのかが明確であれば、より効果的な施策が打てるようになるからです。
育成には長期的な戦略が必要になります。
ロイヤルカスタマーになりやすい顧客を分析して見定めましょう。
企業によってどんな顧客をロイヤルカスタマーと呼ぶかは異なります。
ターゲットとする顧客に最適化したマーケティング活動を実施することが重要です。
|顧客との接点を増やす
ロイヤルカスタマーを育成するためには顧客との接点を増やす必要があります。
・オフラインのイベントの実施
・SNSアカウントによる情報発信
・オンラインコミュニティの作成
・メルマガの発送
などで、顧客とコミュニケーションをとることが大切です。
フィードバックを収集し、顧客の意見や要望を積極的に取り入れ反映させる姿勢を示します。
顧客は自分のニーズが理解されて商品やサービスの提供がされていると感じるでしょう。
意見が尊重されていると感じてもらえれば、ブランドに対するロイヤルティが高まることが期待できるでしょう。
|顧客体験(CX)を見直す
顧客体験(CX)を見直し、サービスや商品に満足してポジティブな印象を持ってもらうことも重要です。
これによって忠誠心を高めることができるからです。
過去の履歴に基づいた提案や問い合わせへの迅速な対応など、顧客が満足感を感じられるサービスを提供しましょう。
商品やサービスの品質を保ち、顧客が安心して利用できるよう一貫した品質を維持することも大切です。
|定期的な情報発信
定期的な情報発信は、ブランドや企業と顧客との感情的なつながりを築くことができます。
ブランドの創業秘話や企業の理念・社会的な使命などを発信し、顧客との感情的な繋がりを築きましょう。
社会貢献など共感を呼ぶ活動を実施し伝えることも、顧客のロイヤルティを生む要因となります。
SNSを通じてコミュニケーションを深めることで関係性を強化することができます。
顧客の投稿に感謝の気持ちを伝えることも良いエンゲージメントとなるでしょう。
| 特典や優遇サービス
特典や優遇サービスを提供することも、ロイヤルカスタマーの育成につながります。
- ・ポイント制度
- ・会員特典
- ・先行販売
- ・限定商品の提供
- ・専用カスタマーサポート窓口
など、ロイヤルカスタマーだけの特別な待遇は、企業やブランドへの愛着を育むことができます。
顧客に特別感を感じてもらうことで商品やサービスへ長期的に関わり続けようと促すことができるでしょう。
ロイヤルカスタマー戦略の事例
ロイヤルカスタマー戦略で成功した事例をいくつか紹介します。
|スターバックス
画像引用:スターバックス公式サイト
スターバックスは、顧客体験の向上やパーソナライズを積極的に行うことでロイヤルカスタマー戦略で成功しています。
ポイント制度や優先特典などのスターバックスリワードプログラム・カスタマイズ可能なドリンクなど、自分だけの特別な体験を得ることができます。
店舗の雰囲気やサービス・接客態度など、顧客がポジティブな感情を抱く体験が提供されています。
社会貢献や環境への配慮などブランドに顧客が誇りを持つような施策を展開していることも、ロイヤルカスタマーの育成に役立っています。
|NIKE
画像引用:NIKE公式サイト
NIKEのロイヤルカスタマー戦略は、顧客との感情的な繋がりを深め愛着を深めることを重要視しています。
例えば、NIKE+アプリはパーソナライズされたトレーニングプランの提供や、個々のニーズに合った製品の提案などを行います。
ユーザー同士で成果をシェアしたり、グループで挑戦したりといったコミュニティ感覚を体験することもできます。
メンバー限定の特典やイベントへの招待などは、ブランドへの忠誠心を高めます。
常に新しい技術を取り入れ、顧客の期待を超える製品を提供することで顧客の満足度を上げ、信頼を得ることに成功しています。
|The North Face
画像引用:The North Face公式サイト
The North Faceは顧客のロイヤルティを高め、維持するために様々なアプローチを行っています。
- ・会員限定の特典やイベントの提供
- ・環境への配慮
- ・高品質で優れた製品の提供
- ・スタイリッシュなアイテム
など、顧客のブランドに対する信頼感を高めるだけでなく、特別感を持たせることでロイヤルティを向上させることに成功しています。
例として、XPLRPASS(エクスプローラーパス)というロイヤルティプログラムの運営があります。
顧客が国立公園へのチェックインなど特定の行動をとることでリワードポイントを獲得することができるというもの。
ブランドの価値観と顧客の行動を結び付けることも、ロイヤルカスタマーの育成につながっています。
他にもSNSやデジタルコンテンツを活用して顧客との関係を深め、ブランドコミュニティの一体感を強化したことで顧客の心をつかむことを実現しました。
まとめ
ロイヤルカスタマーの重要性や育成する戦略について解説しました。
ロイヤルカスタマーとは、企業やブランドに強い愛着を持ってくれている顧客を指します。
企業にとってロイヤルカスタマーは重要な顧客で、売り上げの安定や向上・新規顧客の獲得につながります。
ターゲットの明確化・顧客との接点を増やす・顧客体験(CX)を見直すことなどが、ロイヤルカスタマーを育成するためには重要です。
ロイヤルカスタマーの育成に課題を感じている場合は、実績豊富なプロの制作会社に相談しましょう。
最適なロイヤルカスタマー戦略の施策についての提案が期待できます。